資金と資材を集めよう

 資金を集めることは大変ではありません。ここで私が製作のアドバイスをしているのは飽くまでも友達同士で作る自主映画に関してですから。友達同士で割り勘にすればよろしい。特に今はビデオの時代ですのでビデオテープ代だけで済んでしまう時もあるでしょう。人件費がゼロだと思えば、製作費なんて安いものです。但し、美術に凝り始めると無限大に資金は必要です。予め金の出所は明らかにしておきましょう。監督の個人映画であるとするならば、全額を監督が負担するべきです。製作の途中で資金難で製作がストップしてしまう事態にならないとも限りません。フィルムで撮る場合は8ミリでも200秒につきフィルム代現像料込みで2000円以上はかかると思いますが、最近フィルムが手に入るのかさえ疑問です。編集に必要なスプライシングテープを富士フイルムは出しているのでしょうか。とんと疑問ですね。

 その点、デジタルビデオを使おうとDVDを使おうとコンピューターで編集すれば、それにかかる費用は初期費用だけで済みますから、今はなんと言ってもビデオを利用するべきでしょう。私は家電十五万円主義でして、ビデオ関係の機材は定価十五万円以上のものでないと信用しないことにしています。とはいえ、今は結構安くても手に入りますので大丈夫かも知れません。カメラとモニターとビデオデッキがあれば編集は出来ますので。編集機材には困らないでしょう。

 さて撮影のためにはカメラと三脚が必要です。カメラは何でも良いです。今はかなり大丈夫みたいです。これからカメラを購入するのなら、迷わずデジタルビデオでよいでしょう。同録で行くならばガンマイクが欲しいところです。内蔵マイクはノイズを拾ってしまいます。三脚は大きいものほど安定しているのでよいです。重たいくらいがよいです。軽いのは持ち運びには便利ですが使い勝手がよくありません。しっかりした三脚を用意し、出来れば雲台の部分は自分で気に入ったものを選んで、買い換えるとよいでしよう。水準器がついているものもありますが、必要ありません。カメラマンの平衡感覚を鍛えましょう。

 照明は室内ないし、夜間撮影用にスチールカメラの撮影に使う白色球を二灯か三灯ほしい。昼間の補助光にディライトタイプの青いランプも欲しいところです。ビデオ撮影の場合は現場の灯りだけでも撮れると思うかも知れませんが、照明はたくのとたかないのでは偉い違いがあります。一度、使ってみるとその違いに驚くはずです。銀レフはあればあるほどよいでしょう。ただし、テレビドラマにありがちな不自然な照明のあて方はいけません。いろいろ陰影をつけるように工夫しましょう。最近のテレビドラマでは照明が全体的にフラットになっていますので、ドラマなのかバラエティ番組なのかよくわからないカットが見受けられます。または照明をほとんど当てないで暗い顔のまま自然光だけ撮っているなど、悪い見本がたくさんありますので、注意して見てみましょう。フィルムで撮っている時代劇などは妙にフラットな画面か、コントラストをつけすぎているかの両極端であることが多いですね。ともあれ、最近のビデオ時代劇の照明は随分と改善されてきています。初期のビデオ版「水戸黄門」はまるで舞台中継のような印象でしたが、回を重ねる毎に見られる照明になってきました。

 助監督のシンボルであるカチンコ。市販のものでなく自作するといいかも知れません。とにかく雰囲気作りには欠かせないアイテムでしょう。本来、黒板部分はカメラがシーン、カット、テイク数などを撮すため、白黒の部分はピント合わせのため、音を出すのは同録の音合わせのためなのですが、ビデオ撮影が主ならば絶対に必要というものではありません。

 カメラのレリーズ、またはリモコン。小物ですが、あると便利です。カメラに余計な振動を与えないために必要です。贅沢を言えばビデオ撮影時にカラーのモニターが欲しいですね。ビューカム式のカメラには必要ないかも知れませんが、大きいモニターの方がチェックはしやすいものです。

 作った作品を公開しなければなりません。ビデオプロジェクターとスクリーン、会場が必要ですが、これは「公開をしよう」でふれることにしましょう。

 本格的に自主映画を作る場合の資金集めは大変です。いいスポンサーを獲得できればよいですが、監督の自前となると莫大な借金を背負うことになるでしょう。エキストラをノーギャラで集めても弁当代くらいは支給しなければいけませんから。とかく人件費やスタジオ代は素人が差配するには手に余る資金が必要になります。

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